一級建築士試験とは?学科試験、独学の方法を簡単解説!

一級建築士試験を受験しよう!と思い立っても、「何から始めたらいいんだろう?」「そもそも、一級建築士試験ってどんな内容?」と悩んでしまう方が多いと思います。
ここでは、初めて一級建築士試験を受けようと考えている方向けに、試験の内容・スケジュールと、勉強方法(主に独学)を簡単に解説します。

この記事でわかること
  • 一級建築士学科試験の概要・スケジュール
  • 通学・独学のメリット・デメリット

一級建築士試験の概要をつかもう

一級建築士試験のスケジュール

一級建築士試験は、学科試験と製図試験に分かれています。
学科試験に合格した人でないと、製図試験を受けることはできません。
学科試験から製図試験までの大まかなスケジュールは以下の通りです。

4月    学科試験申し込み               
5月
6月
7月学科試験
8月
9月学科試験合格発表
10月製図試験
11月
12月製図試験合格発表
学科試験から製図試験までのスケジュール

毎年7月の第3週日曜日に学科試験が行われます。
学科試験の合格発表が9月にあり、10月の第2週日曜日に製図試験が行われます。
製図試験の合格発表は12月です。
学科試験、製図試験ともに合格した人のみが、実務経験を経て一級建築士登録を行うことができます。

学科試験科目と試験時間

学科試験の教科と試験時間は下の通りです。

教科問題数試験時間基準点
計画
環境・設備   
20問     
20問
2時間     11点     
11点
法規 30問1時間45分16点
構造
施工
30問
25問
2時間30分16点
13点

学科試験は「計画」「環境・設備」「法規」「構造」「施工」の5教科で、総試験時間は6時間15分です。
そして何と言っても特徴的なことが、各教科に足切りが設定されていることです。
総合得点で基準点以上を取っていても、足切りによって不合格となることもよくあります。

試験本番のスケジュールはこんな感じです。

9:30〜9:45注意事項説明
9:45〜11:45(2時間)学科Ⅰ(計画)、学科Ⅱ(環境・設備)       
11:45〜12:30休憩
12:30〜12:55注意事項説明、法令集チェック
12:55〜14:40(1時間45分)  学科Ⅲ(法規)
14:40〜15:00休憩
15:00〜15:10注意事項説明
15:10〜17:55(2時間30分) 学科Ⅳ(構造)、学科Ⅴ(施工)

学科試験の合格点の推移

一級建築士の学科試験は相対評価であり、合格基準点は年度によって異なります。
近年は合格率が20%前後(4,000〜6,000人)となるように推移しています。

受験者数合格者数合格率合格基準点
令和4年度  30,007人  6,289人  21.0%  97点
令和3年度  31,696人  4,832人  15.2%  88点
令和2年度  30,409人  6,295人  20.7%  87点
令和元年度  25,132人  5,729人  22.8%  91点
平成30年度    25,878人  4,742人  18.3%  91点

筆者は令和3年度の試験でストレート合格(学科:独学、製図:通学)しています。

一級建築士試験の勉強方法

学科試験の勉強方法は、

  • 資格学校に通う
  • 独学で勉強する

の2つがあります。
それぞれのメリット・デメリットを解説します。

資格学校に通うことのメリット・デメリット

メリット
  • 試験に出題される部分に特化した教材がもらえる
  • 強制的に勉強できる環境がつくれる
  • 「何をすればいいかわからない」状態に陥ることがない
  • 相談できる人がいる

資格学校に通う最大のメリットは、試験内容に特化した教材がもらえることです。
一級建築士試験の範囲は膨大なため、やみくもに勉強してもキリがありません。
資格学校は試験内容を独自に研究しているため、出題されやすい範囲というものをもちろん把握しています。

デメリット
  • お金がかかる
  • 通学に時間がかかる
  • 結局は自分で勉強するしかない

筆者は資格学校に通学した経験はありませんが、会社の同期や友人のほとんどは資格学校に通っていました。
資格学校の一級建築士フルセットコースは100万円以上するものがほとんどです。それに追加で、冬季・春季講習費や直前対策費など、さらに数十万円ほどの費用が必要になります。

また資格学校に通うと言っても、学校側は場所や教材を提供してくれるだけで、結局は自分自身で身を削って勉強するしかありません。

「学校に通っているから安心」「宿題は全部提出しているから大丈夫」という資格学校任せの姿勢は厳禁です。

独学のメリット・デメリット

メリット
  • お金がかからない
  • 自分のペースで勉強できる
  • 忍耐力がつく

独学の最大のメリットはお金がかからないことです。教材の購入費で多少はかかりますが、それでも資格学校と比べると雲泥の差です。

参考までに、筆者が学科試験で使った教材費は3万円程度でした。

また、自分のペースで勉強ができる点は、メリットでありデメリットでもあります。
資格学校に通うと、毎週土日に学校に行かなければなりませんが、独学ではそのような制限はありません。仕事が忙しい方や、育児をしている方には独学の方が自分の時間も確保できると思います。

反対に、お尻を叩いてくれる人がいないので、ついダラダラしてしまう方だと難しいと思います。

デメリット
  • 勉強方法がわからない
  • 最新情報を入手できない
  • とにかく不安

筆者が独学をしていたときに感じた最大のデメリットは、情報を入手できないことです。
学科試験には直近に法改正された内容や、近年流行りの内容(令和4年度学科試験では、ZEBやカーボンニュートラル等)が毎年出題されています。
資格学校では講師から教えてもらえますが、独学ではその情報を自力で入手するほかありません。

また、どう勉強すればいいか、何の教材を使えばいいか、試験直前は何を勉強すればいいかなど、試験日までとにかく不安の中勉強していました。

安心して勉強したい、お金に余裕があるような方は、資格学校に通うことをおすすめします。

独学を選んだ理由

筆者が独学を選んだ理由は2つあります。

  1. お金をかけたくない
  2. 1年で受からなくてもいいと思っていた

資格取得のために、何十万円ものお金をかけたくないというのが、独学を選んだ最大の理由です。
また、一級建築士は難関資格であり、上司や先輩も1回以上(中には何十回も)学科落ちしている人がほとんどでした。

なので、1回目は独学で頑張り、もし落ちてしまったら2回目は資格学校に通おう、という気持ちで独学を選択しました。

独学の勉強方法

どれくらいの勉強時間が必要?

一級建築士の学科試験を突破するために必要な勉強時間は、一般的に1000~1500時間と言われています。もちろん個人差があるので、中には700時間程度で合格した!という方もいます。

重要なのは、勉強の質だと思うのでそこまで時間を気にする必要もないかもしれませんが、目安やモチベーションを得るために目標時間を設定することもいい方法といえます。

筆者は1000時間以上を目標とし、実際も1000時間程度の勉強時間で学科合格しました。

独学で合格するための勉強スケジュール

では、「いつから勉強を始めたらいいの?」「まずは何をすればいいの?」と思う人がほとんどだと思います。

ここで、筆者が合格したときの実際の勉強スケジュールをざっくり紹介します。

11月独学での勉強を決意
12月 ・法令集の線引き
・構造テキスト読み込み
・法規1問1答
1月・構造テキスト読み込み
・構造1問1答、計算問題
・法規1問1答
2月・計画テキスト読み込み
・環境・設備テキスト読み込み                
3月・施工テキスト読み込み
4月・ひたすら過去問
5月・ひたすら過去問
6月・ひたすら過去問
7月・ひたすら過去問
※ざっくり書いています

勉強を開始したのは試験前年12月で、約8ヶ月間勉強しています。
前半の4ヶ月でテキスト読み込みや1問1答で基礎を固め、後半の4ヶ月で過去問を解いています。

ずばり、一級建築士試験の勉強は、過去問一択です!!

一級建築士試験の問題の多くは過去問から出題される傾向にあります。
新出問題も、過去問の応用によって解けたり肢を減らせたりできることがほとんどです。

なので、過去問をひたすら解いて、過去問の中で知識を身につけていくことが最短ルートです。

筆者は過去問以外の問題は一切解きませんでした。(模試除く)

まとめ

一級建築士試験に独学で挑むためには、情報収集が肝心になります。まずは試験概要や勉強スケジュールをしっかり掴み、具体的な勉強計画を立てることが重要です。

勉強の開始時期や目標時間など、自分なりに設定しスケジュールをたててみてください。

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