一級建築士試験の学科を独学で受けよう!と思い立っても、「何から始めたらいいんだろう?」と手が止まってしまう人がほとんどだと思います。
この記事では、一級建築士試験の学科を独学で合格するための、スケジュールの立て方を解説します。
あわせて、筆者が合格した実際のスケジュールを紹介します。
一級建築士試験は独学で合格できる?
結論から言うと、一級建築士試験は独学で合格できます。
ただし、学科試験に限ると個人的には思っています。
学科試験は、勉強すればした分だけ結果に繋がります。つまり、頑張って勉強すれば、誰でも合格できるということです。
しかし、製図試験は学科試験と異なり情報とテクニックが求められます。一級建築士試験の製図試験は独特の採点基準があり、独学では圧倒的に情報不足に陥ってしまいます。
相談できる相手がいたり、製図や計画立案に心得がある人は別ですが、初学者の方は学校に通うことをおすすめします。
筆者は、令和3年度の学科試験を独学、製図試験を通学で1発合格しています。
学科試験は独学で合格できると言っても、1年間ずっと不安とストレスを抱えながら、自分の時間を極限まで削って勉強して、やっと合格できるような試験です。
独学で合格するには覚悟が必要です。でも波にさえ乗ってしまえば、絶対なんとかなります!
この記事では、筆者の経験を踏まえ効果的なスケジュールの立て方を解説します。
勉強スケジュールをの立て方
勉強をはじめるにあたり、スケジュールを立てることが重要です。
学科試験は長期間に渡るため、途中で目標を見失わないためにもまずはスケジュールを立てるところからはじめてみましょう。
目標勉強時間を設定する
一級建築士試験に合格するためには一般的に1000〜1500時間必要と言われています。
例えば試験日が7月24日(※令和4年度日程)で、前年の12月1日から勉強を開始したとすると、
日数は234日(12月1日〜7月23日)
❶ 1日3時間勉強すると・・・
234日✖️3時間=702時間 合計702時間
❷ 平日3時間、休日7時間勉強すると・・・
平日167日✖️3時間=501時間
休日67日(祝日除く)✖️7時間=469時間 合計970時間
❶の勉強スケジュールだと少ないような気がします。
❷の勉強スケジュールだと、年末年始やGW、最後の追い込みを考えると1000時間は達成できそうです。
全体スケジュールを立てる
設定した目標勉強時間をもとに、まずは全体的なスケジュールを立ててみます。
月単位で、12月は構造の問題集を1周、1月は過去問を2回分、と言った感じです。
設定できたら、今度はそれを週単位、1日単位に細分化し、短期的な目標を設定してみます。
例)
月単位
構造の問題集を1周
週単位
1周目:問題集の1章を終了
2周目:問題集の2章を終了・・・
日単位
1日目:1章の1〜5ページを終了
2日目:1章の6〜10ページを終了・・・
また、予備日を設定しておくことも重要です。
仕事が忙しかったり、外せない用事があったりして勉強時間が確保できないと、どうしてもスケジュールがずれてきてしまいます。
そうならないように、あらかじめ週ごとに予備日を設定し、都度スケジュールを修正していくことも大切です。
スケジュールを立てる上で意識すること
1.過去問を解く時間を多く設定する
2.法規、構造に時間を割く
3.模試を受けてみる
1.過去問を解く時間を多く設定する
学科試験の1番効果的な勉強方法は、過去問を解くことです。
なぜならば、学科試験の多くは過去問から出題されているからです。初めは驚くほど解けないし理解できないとは思いますが、過去問を解き過去問から学ぶことが1番の近道です。ですので、意識して過去問を解く時間を多く設定してみましょう。
2.法規、構造に時間を割く
法規、構造に時間を割いた方が良い理由は、単純に配点が多いからです。
学科試験は125点満点であり、法規と構造だけで配点の約50%を占めています。
(法規:30点、構造:30点)
法規と構造は、配点が大きい分得意だと貴重な得点源になりますが、落とすとかなりの致命傷になります。
勉強開始の初期段階から計画的に勉強し、”苦手”の状態は絶対に避けるようにしましょう。
3.模試を受けてみる
模試を受けることも重要です。
独学ではとにかく情報不足に陥りやすいので、他人からのフィードバックをもらえる模試はとても貴重な機会です。受験生の中での自分の順位がわかるので、モチベーションにも繋がりますし、自分の得意分野・苦手分野もはっきりわかります。
また、ある程度勉強を進めると過去問はすらすら解けるようになってきます。
(見たことある、復習している問題なので)
そうなると、「自分はできる」「本番も余裕だな〜」と勘違いしてしまうのです。(※実体験です)
その段階に模試を受け、初見の問題を解くことで、自分の本当の実力を理解することが大事になってきます。
当たり前ですが、本番の試験は初見の問題なので、過去問から学んだことや知識を、初見の問題にどう応用するかが問われます。
その訓練を模試で行っておくことで、本番の試験でも慌てずに取り組むことができます。
独学で合格した実際のスケジュールを紹介
ここで、筆者の独学合格時の勉強スケジュールを紹介します。
(立てたスケジュールではなく、実際のスケジュールです)
- 12月法規:法令集の線引き
構造:テキスト1周目 - 1月法規:過去問2年分、1問1答
構造:テキスト2周目、計算問題、1問1答 - 2月計画:テキスト1周目
環境:テキスト1周目
法規:過去問2年分、1問1答
構造:計算問題、1問1答 - 3月計画:テキスト2周目、1問1答
環境:テキスト2周目、1問1答
法規:過去問2年分、1問1答
構造:過去問2年分、1問1答
施工:テキスト1周目、1問1答 - 4月計画:過去問
環境:過去問
法規:過去問
構造:過去問
施工:過去問
(1日1教科1年分) - 5月計画:過去問
環境:過去問
法規:過去問
構造:過去問
施工:過去問
(1日1〜2教科1年分) - 6月計画:過去問、事例集
環境:過去問
法規:毎日過去問1年分
構造:過去問
施工:過去問
(1日2〜3教科1年分) - 7月計画:過去問、事例集
環境:過去問
法規:毎日過去問1年分
構造:過去問
施工:過去問
(1日2〜3教科1年分)
試験前年の12月から勉強を開始し、試験日の7月11日までの勉強時間は約1000時間でした。
- 12〜3月・・・テキスト、1問1答で基礎固め
- 4〜7月 ・・・ひたすら過去問
と言った感じで勉強しています。
最終的に、過去問は8年分を3周(法規は4周)しました。
ただ、過去問ベースの問題集や1問1答は継続的に解いていたので、厳密に数えるともっと解いていたと思います。
法規は、試験日の2週間前から毎日1年分解いていました。1年解くには最低2時間30分はかかるので、復習の時間も考えると毎日法規だけで3時間勉強していました・・・。
今考えると狂気的ですが、その甲斐あって法規は本試験で27点でした。
毎日の勉強時間
12〜3月の4ヶ月は、「まだ時間あるし大丈夫」と思ってしまい、3時間勉強する日もあれば全く勉強しない日もありました。(反省点です)
4月に入ると流石に焦り始め、とにかく勉強する時間を捻出するよう心がけました。
5月以降は、平日4〜6時間、休日7〜8時間は勉強していました。
- 通勤時40分
(電車の中で20分、歩きながら20分)
- 始業前1時間
1時間前に出社し、始業まで勉強
- お昼休み40分
ご飯を20分で食べ終え、残り時間に勉強(たまに昼寝)
- 退勤時40分
(電車の中で20分、歩きながら20分)
- 帰宅後2〜3時間
ご飯後23時頃まで勉強
通勤時間や会社での昼休みなど、空いた時間があればとにかく勉強していました。
帰宅後まとまって勉強するまでに、”すでに3時間勉強している”という状態だったので、心に余裕を持ちながら勉強できました。
まとめ
一級建築士試験の学科は、独学で合格できます。
まずは目標時間を設定し、スケジュールを立ててみるところから始めてみましょう。
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